評論・文学研究

評論・文学研究の情報ページです。
勝負の終り
勝負の終り
早川書房
price : ¥987
release : Now On Sale

傑作ファンタジー、堂々の完結

 対決するべき神トラクへの恐怖を胸に、ガリオン、シルク、ベルガラスの一行は眠れる神の待つ、”永遠の夜の都市”へと向かう。ナドラク、そしてモリンドランドを抜ける旅路では三人の個性を遺憾なく発揮して様々な遭遇をクリアしながら一歩一歩ガリオンは自分の運命へと近づいていく。その途中でのガリオンの決意と、その後のベルガラスとのやり取りはこの作品のシリアスとユーモアのコントラストを象徴するようなシーンでもある。
 その一方で、ガリオンとトラクを出会わせるために、様々な人々の運命が交錯する。愛のために犠牲を覚悟して軍を起こしたセ・ネドラもまた戦争の渦の中で様々な経験をし、その渦の中で農奴のラメールとデットンに至る様々な登場人物達がそれぞれの運命と物語を紡ぐ。
 少人数での旅路と大規模な戦争の二部構成は指輪物語を彷彿とさせるが、端役に至るまでの人物描写、敵であるアンガラク側の事情、傍観者であるニーサの動きまで含めて何とも言えず味のある人間模様を繰り広げるのがエディングス流である。人からかけ離れた神話をモチーフとしながらも、これは人々の物語でもある。
 そしてそれはクライマックスにも如実に語られる。神々の力を見せつけながらも、人間のささやかで大事でちょっと滑稽な営みがはぐくんだものの価値が示され、物語はそれぞれの日常に触れて幕を下ろす。
 読み通せば、この作家の虜になること請け合いの傑作である。続編の「マロリオン物語」、そして2005年7月から刊行予定の後日談にして前日談「魔術師ベルガラス」も楽しめる/楽しみな作品であることは間違いない。
 新装版の出版を機会に、是非このファンタジーの大傑作を手にとって欲しい。
マジック・ツリーハウス〈13〉愛と友情のゴリラ
マジック・ツリーハウス〈13〉愛と友情のゴリラ
メディアファクトリー
price : ¥819
release : Now On Sale

ゴリラとともだち

私は、二年生です。愛と友情のゴリラは、マジックツリーハウスのなかでも一番おもしろかったです。ジャックとアニーが、ゴリラの子供となかよしになっている場面や遊んでいる場面で、わたしも友達になりたいなぁ、と思いました。でもいざとなると、私なら固まりそうなのになぜアニーは固まらなかったのか不思議です。
淡い輝きにゆれて
淡い輝きにゆれて
ランダムハウス講談社
price : ¥819
release : Now On Sale

せつない気持ち

ダイアナ・パーマーの作品はいつも想いが届かない切ない気持ちが伝わりとても好きな作品が多いです。この本も、愛している人に望まれていないと思い独りで生きようとする主人公の気持ちがとても悲しくせつなく素敵でした。
最後はハッピ^エンドなので安心ですが・・・。
あと男の人が愛している気持ちに気付かず嫉妬したりする自分に戸惑う姿もどきどきしました。
現代マンガの全体像
現代マンガの全体像
双葉社
price : ¥590
release : Now On Sale

はるき悦巳さんファンの人は読まないほうがいいです

じゃりン子チエの所では凄い差別的な事が書かれていて初めて読んだ時。ある意味ショックを受けました。はっきりいってはるき悦巳さんはそんな差別的なメッセージを込めて「じゃりン子チエ」を書いたのではないと思います。それとこの本の著者の呉とかいうオヤジは何かの本で「差別はあっても良い」とかホザいていた最低なオヤジです。はっきり言ってこの本のはるき悦巳さんの所はデタラメです。はるき悦巳さんに謝罪してほしいです。だけど、インテリさんが言っている事は自分には理解が出来ません。
ユートピア
ユートピア
岩波書店
price : ¥588
release : Now On Sale

500年ほど前に描かれた、人間の幸せを実現する社会モデルの記述

 この本は、コロンブスのアメリカ大陸発見の少し後、日本では応仁の乱から下克上の時代に当たる頃、イギリスにおいて著された。その頃の欧州は、人々が個人として目覚め始め、神の呪縛から解放されつつ社会や国家との関係において幸福の追求を意思し始めていた。
 ユートピアという言葉は「どこにも無い」という意味の著者による造語だが、その内容は、人間の幸せを実現するための望ましい社会のことである。その社会を一言で言えば、善意と尊敬と勤労に基づいた公共社会で、そこでは私有財産は無く平等で、市民は精神の自由な活動による幸福を享受している、というものである。ユートピアの具体的記述はもちろん現代とはマッチしないが、提出されている問いとその解決原理は現代においても通用する普遍性を持っている。
 トマスモアは国王ヘンリに対する反逆などのかどで刑死するが、そのヒューマニズム思想はその後の近代思想に大きな影響を与え、現代人も知らず知らずにその恩恵を蒙っていることを思い起こさせる。
11分間
11分間
角川書店
price : ¥700
release : Now On Sale

愛とセックスの物語

ブラジルの田舎で生まれ育ったマリーアは、21歳になると広い世界に憧れてスイスへと発つ。そして22歳になった時、人気の売春婦になっていた。彼女がしたのは決断ではなく選択の連続だったのかもしれない。しかし彼女の中には強く前向きな意思が確かにあった。

マリーアの思い、語る言葉はとても美しく哲学的だ。世界と、ひとりぼっちで人生に立ち向かっていくために生まれてきた人。苦痛と屈辱とものすごい快楽。女と男。愛とセックス…短い、あるいは長すぎる人生の中で、人は様々な経験をして生きていくのだ。

読んでいる最中はとにかくエロくて、また、女性はこれほどまでの洞察と深慮を持ち合わせているのかと驚かされる。そして読み終えてみると純粋なラブストーリーだったとも思う。
一夜だけの約束
一夜だけの約束
ソニーマガジンズ
price : ¥840
release : Now On Sale

繰り返しの表現が多いかな

著者の「秘めやかな約束」がすごくおもしろかったので、
「 一夜だけの約束 」も読んでみました。
前作のグレイスとは、全く違う、男勝りで恋に不器用
かつ過去におびえる女性。新鮮味はありましたが、
男性不信の原因について、前夫、父親について、
もう少し心情が詳しくふれられてあってもよいかなと思いました。
少し単純な感じもして、読んだ後、少しだけ物足りなさを感じました。
二人の葛藤やぶつかり合いなんかが、繰り返し出てきて、
飽きてしまう部分も・・・。
主人公が秘密主義なのはわかるけれど、謎を解明する部分では
もっと詳しく書かれてれば盛り上がりもアップしたかと。
全般的には刺激もありつつ、やさしくおだやかな気持ちで読め、
ちょっとしたロマンス、刺激がほしい時におすすめです。
絞首人の一ダース
絞首人の一ダース
論創社
price : ¥2,100
release : Now On Sale

スター・ウォーズ 外宇宙航行計画〈上〉
スター・ウォーズ 外宇宙航行計画〈上〉
ソニーマガジンズ
price : ¥935
release : Now On Sale

シボースの過去

SWスピンオフの先駆けとも言える『スローン三部作』以後、作者のザーンが出すSW小説はいずれも読み応えのある秀作ばかりでしたが、今回はそのサーガの骨子とも言える「外宇宙航行計画」(アウトバウンド・フライト)の全貌がついに明らかにされたわけです。相変わらずの重厚な筆運びとストーリー、魅力的なキャラクター満載で、とにかく読み応えがあります。特にジョルースのオリジナル、ジョラス・シボース、若き日のスローン大提督、そしてジョージ・カーダスらの活躍は必見。シボースはクローンに負けず劣らずの暴走振りだし、スローンはかっこよすぎだし、カーダスはルーカスにソックリだし(笑)。
ハイペリオンの没落〈上〉
ハイペリオンの没落〈上〉
早川書房
price : ¥903
release : Now On Sale

辺境の蛮族・Ousterが優雅で美しい

いきなりHegemonyと辺境の蛮族・Ousterのハイペリオンをめぐる大戦争が始まるところから、この後編は幕があきます。

この作品は三部構成になっていて、多少なかだるみのあった第一部が終わり第二部にはいると、「Hyperion」で親子の愛情を切々と語った第四話の「学者の物語」のその後を中心に話しがすすみ、学者・ソルが娘・レイチェルを怪物・シュライクにささげるラストまで感動の連続でした。特に"Say yes, Daddy."(イエスって言うのよ、パパ)の台詞には涙ぼろぼろでした。

さて、Googleが発達するとこうなるのかとおもわせるTechnoCoreがどこに存在するのか、TechnoCoreとはいったい何者なのか、こちらは本当に意外な結末に唖然としました。いずれにしろ、インターネット勃興前夜の1989年と1990年に書かれた、インターネット時代を先取りした素晴らしい小説と言えるのでしょう、少なくてもHegemonyと辺境の蛮族・Ousterとの戦いの結末については。

しかし、エピローグの直前の章・第45章で巡礼たちの運命について、意外な話しの展開があるのですが(これについてはなんの前触れも、伏線もありません)、それが私にとっては、ちょっととってつけたような結末という印象を持ちました。(残念だな?) 巡礼たちの運命にかかわる最後の二章は、もっとページをつかってしっかり描き込んで欲しかったと考えています。で、ここで一点減点です。

私の好きな場面:
辺境の蛮族・Ousterが奏でられる音楽の音色とともに初めて登場する場面は、「Hyperion」二部作のなかで飛び抜けて出色のシーンです。ダン・シモンズによって描写されるこの辺境の蛮族の優雅で美しいことといったら、まるでビスコンティの映画のワンシーンをみているようで、それこそ一幅の絵画だったと言えるでしょう。
ベロニカは死ぬことにした
ベロニカは死ぬことにした
角川書店
price : ¥580
release : Now On Sale

時間が教えてくれたもの、ベロニカ

テレビを見て、ご飯(えさ)を食べ、寝て、社会経済を維持する事を目的とする。
我々は、無意識的に、この目的が、人生になっている。
ほとんどの人は、意識せよそうでないにせよ、自分の人生は、自分の幸福に基づいたものではないように、社会的に、なっている。
なぜなら、自分の消費、生産活動によってのみ、我々の社会は維持されているからだ。
消費、生産活動に必要な知識、技術を取得することが、優先する。
その活動に費やす、資源である時間を、死が遠いものであると思い込んでいるから、結果的に、自分よりもシステムに使うことになってしまう。
そして、社会は、繁栄し続けることになる。

しかしながら、ベロニカは、差し迫る死によって、自分を、自分以外のものを排除して、知ることができたのではないだろうか?
そこで知ったものとは、彼女の存在意味だった。
それは、愛という他者に対する結びつきを、強化させるものだった。
それこそが、彼女が存在してきた意味で、これ以上素晴しいことはない。
そして、彼女のような経験をほとんどの人がしない。
だから、その意味を知ることは、彼女の人生を無意味にしたのではないと思う。
我々は、近づく事によって、真剣に、考え、自分を知ることになるのである。
馬と少年
馬と少年
岩波書店
price : ¥756
release : Now On Sale

挿絵の雰囲気が変わりました。

今までは外の世界からナルニアに来た子供達が主人公でしたが、
今作の主人公は元々ナルニア(に近い所にある国)に住んでいる
少年です。
ペペンジー兄弟もピーター以外は登場しますが、
王や王女としてなので今までの作品で見られた子供っぽさはなく、
驚かされました。

作品としては前作までとは傾向が異なり、違った面白さがあります。
今作も主人公達が成長して行く様子がとてもよく書かれているので、
最後まで飽きずに読めるかと思います。

ただ、アスランが・・・都合のいい時にだけ出て来る事に
少々違和感を覚えました。
大事な役割や複線もあったりするんですが、どうも・・・。
結局は全てアスランの示した事が正しいのだ、という事になるので
キリスト教の信者ではない私からすると、
少し反発したくなってしまいます^^。
天気の好い日は小説を書こう―ワセダ大学小説教室
天気の好い日は小説を書こう―ワセダ大学小説教室
集英社
price : ¥520
release : Now On Sale

文学的な実用書。

勉強になります。
著者は芥川賞を受賞した純文学畑の人ですが、エンタメ系の小説を書く方でも読んでおいた方がいいでしょう。
日本人が日本人に向けて小説を書く、日本語の文章を書くということが何なのか、貴重なアドバイスが盛り込まれています。英語学習の弊害を指摘した下りなどは、その最たるものでしょう。
俺は私は純文学なぞ書かないからいいんだなどと言わず、騙されたと思って、目を通してみて下さい。
得るものは必ずあります。
死の記憶
死の記憶
文藝春秋
price : ¥750
release : Now On Sale

人の心の深い闇がもたらした家族の悲劇

トマス・H・クックの、日本で『記憶』シリーズと呼ばれる4作品のひとつ。邦訳されたのは’97年度エドガー賞受賞作『緋色の記憶』に次いで2番目だが、本国アメリカでは’93年に発表された、シリーズ最初の作品である。原題もそのものズバリMortal Memory(死の記憶)。

ストーリーは35年前、父が母と兄姉を射殺して失踪した家族の悲劇を、当時9歳だった‘私’、スティーヴが回想するところから始まる。現在の‘私’は、あの日以来、“たまたま”建築士になり、夫になり、父親になり、“たまたま”の人生を生きてきた。ある日『自分の家族を殺した男たち』というテーマで本を書くため取材したいとやって来た女性作家、レベッカによって眠っていた‘私’の記憶が呼び起こされたのだ。

レベッカに誘われるまま「父はなぜあんなことをしたのか」という謎を追想し、記憶のベールを一枚ずつ剥ぎ取ってゆくうちに、やがて‘私’の内にも、かつて父が感じたのではないかと思われるものと同様の、“中年の男”の心の奥の深い闇がひたひたと襲い、自分自身の家族にも悲劇が訪れる。

物語のラストで35年前の想像もつかない事実が明らかになるのだが、著者の意図は決して真相の意外性にあるのではない。自己実現の不充足感、可能性を封じられた人生への不満、変化のない日常生活に耐えられなくなった心の乾き・・・、そんな閉塞からの精神の躍動を希求する思いが一歩道を逸脱した時、誰もが犯罪者になりうる。人間の心の深い闇から生まれる悲劇こそが本書のテーマであり、『記憶』シリーズであるように思う。

テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ
テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ
NTT出版
price : ¥2,520
release : Now On Sale

このマンガ理論の提示を、なかったことにしてはならない

 p295の記述にもかかわらず、私は本書タイトルからLA STYLEのJames Brown Is Dead(1991)を想起した。「動物化」の観点から考えても似つかわしい。
 要点は2つ。第1に「キャラ」のリアリティ。これは「人格を持った身体の表象」としてのマンガのキャラクター(ルプレザンテ)を、描線の一定のアンサンブル(ルプレザンタン)の水準で見た時に立ち現れる対象で、「萌え」はこの境位で発動する。
 ただし、「萌え」は想像的同一化ではない。「キャラがその成立から今日に至るまで、『文字=シンボル』と『絵=イメージ』を明確に分かつことのない『不純な領域』にあり続けることも忘れてはならない。一方、ラカンによるモデルとは、イメージとシンボルの分割を前提にしたものなのである」(p245)。この問題意識は「環境管理型権力」の問題にも、新たな言語論にも連接する。
 第2にフレームの不確定性。これはマンガにおいてコマとページ(または見開き)のいずれをフレームと見るべきかの決定不能性を意味する。
 著者によれば、マンガのモダンは手塚の『地底国の怪人』におけるキャラ否認によって開幕する。そして「劇画-少年/青年マンガ」におけるコマのモンタージュ技法の発展(=フレームの不確定性の抑圧)により「映画的リアリズム」が成立。この起源が『新宝島』に遡及的に措定されてテヅカ神話が完成する。つまりマンガのモダンは上記の2つのエレメントの抑圧/隠蔽によって仮現している。
 記述のもたつきや、やや性急な部分、柄谷的な文学史観への無条件の寄りかかりなど気になる点はあるが、全体として帯の夏目・東両氏の推薦文はきわめて的確だ。マンガの理論は、これで確かに1歩前進していると思う。
響きと怒り
響きと怒り
講談社
price : ¥1,575
release : Now On Sale

アメリカ最大の小説!

もはや言葉の可能性を超越してしまっている。
知的障害者、自殺直前の青年、エゴの塊のような男をそれぞれの章の語り手に据えるという試みもすごいが、そのキャラクターを完全に活かしきって1つの完結したストーリーへとまとめ上げてしまっているところがすごい。
よほど自分の作家としての才能に自信がなければこんなことはできない。
最初は多少、読みづらさを感じはしたが、慣れてしまってからはとにかくストーリーにはまり込んでしまって、読み終えてしまうのが惜しいとさえ感じた。
これまで読んだ小説の中で最高の作品である。
曖昧の七つの型〈上〉
曖昧の七つの型〈上〉
岩波書店
price : ¥903
release : Now On Sale

ザ・ポエット〈下〉
ザ・ポエット〈下〉
扶桑社
price : ¥641
release : Now On Sale

余裕のよっちゃん

マイクル・コナリーの、ボッシュ・シリーズではない単独の作品。同じような作品に「わが心臓の痛み」もあり、共通しているのは主人公の特異な設定だ。刑事の自殺が、実は連続殺人犯のしわざだったーそれを追うのが刑事の双子の弟の新聞記者ーという突飛さ。そしてそれにFBIが絡んでいく。お気楽に読み始められるボッシュ・シリーズとは異なり、読者はその絶妙さ、オリジナリティの素晴らしさに舌を巻きながら、物語に没入してしまう。

冒頭はトマス・H・クックを髣髴とさせる内省的な色合いで語られる。しかし、読者がその世界に入り込んだ頃合を図ったかのように、物語は動き始める。上質で意表を突くプロットだ。読後、ちょっとあそこは甘いなあーとか、都合よすぎるんじゃない?−とかあらためて認識はできるのだが、いったん読み始めると、読者はコナリーのローラー・コースターに乗せられているのだから、後ろなんて気にしていられない。

これを書ききる力量がボッシュ・シリーズの基礎体力になっているのだと改めて感じる。一回り大きいエンジンでLAの大通りをクルージングしているような余裕だ。余裕があれば大きなミスは犯さないし、小さなミスには眼をつぶれる。僕はこの作品ももちろん評価するが、今後のボッシュ・シリーズに大きな期待が持てたことを喜びたい。

24人のビリー・ミリガン〈上〉
24人のビリー・ミリガン〈上〉
早川書房
price : ¥924
release : Now On Sale

青年の「悲しみ」と、他人格の「奮闘」を感じた

 テレビでビリー・ミリガン本人の映像を見た。ミュージシャンか俳優のような長髪でハンサムな風貌、はにかんだようなびくびくしたような物腰で凶暴性などは感じられなかった。しかし人格が移行するシーンは本書の記述通り、うつろな目つきとつぶやきを伴って、その転換は驚きだった。「アルジャーノン・・・」を読んだ頃からいつかは読みたい本のリストに挙がっていたが、驚きを確認するためにすぐに読み始めた。
 内容はルポルタージュに近く、本人の経歴を追いながら、多重人格を理解・肯定して治療しようとする医師達の努力と、司法やマスコミの無理解を淡々と描いている。全体を通して感じるのは記憶と自分の意識を失った青年の「悲しみ」と、自己防衛本能とも言える他の人格たちの現実認識や矯正のための意外な「奮闘」である。
 「奮闘」するに当たってミリガン内部での人格同士の牽制や交流はあたかも大家族の営みのように書かれているが、実際は崩壊しかかった学級や社会と言った趣だ。したがって統合調整する人格に与えられた「教師」という呼び名は非常に適切だと感じられた。しかし一番知りたい、各人格の出現した経緯の記述は十分ではなく、不満が残るところだ。
 後日談を含めて、稀有な現象・病例の克服として読むに値する本だと思う。続けて「?23の棺」や「シビル」も読んでみたい。

ハマースミスのうじ虫
ハマースミスのうじ虫
東京創元社
price : ¥819
release : Now On Sale

確かにヴィンテージもの

クラシカルなミステリーでヒッチコックの映画を観ている気分になれる。街の風景描写など巧みで引き込まれる箇所も多々あるが、所詮道楽者の素人探偵が結構歪な正義感で犯人を追い詰める、という骨格は赤玉ポートワイン級の「甘さ」。時の流れを「芳醇」と取るか「陳腐」と取るかは読者のミステリー観による。読み手を選ぶ一冊。
チベットの薔薇
チベットの薔薇
扶桑社
price : ¥1,050
release : Now On Sale

アメリカン・タブロイド〈上〉
アメリカン・タブロイド〈上〉
文藝春秋
price : ¥700
release : Now On Sale

アメリカの鎮魂歌

読み出したらやめられないおもしろさ。腰に響くような重厚さ。悪人だって良い心は持ってるし、善人だって悪いことをする。そして、人は変節していく…。エルロイは人間って複雑なんだって事をわかっている人だ。そんな事は本当は誰だってわかってるのかもしれないが、その事を小説でちゃんと表現出来るほどの力量のある人はめったいにいない。それもとびぬけておもしろい小説に書ける人はエルロイしかいない。安っぽいベストセラー小説の、ステレオタイプの人物造形に辟易している人には、目からウロコの本です。こんなに救いの無い本が何故こんなにおもしろいのだろう。ボビーが生きていたら、アメリカは、世界は変わっていたのだろうか。
碧血剣〈3〉北京落城
碧血剣〈3〉北京落城
徳間書店
price : ¥600
release : Now On Sale

カタルシス

金庸作品の中でも最強に近い袁承志が縦横無尽の大活躍をする最終巻。
最強の宿敵との決着。
そして大団円。
碧血剣は明末清初という歴史背景を持っているが、
この作品はほとんどそれを意識する必要がない。
中国史の難しい(マニア的な)話が続出というわけでもないので
とっつきやすい。
1つだけ、知っておくと楽しいのが、李巖という人物。
『中国の大盗賊』という新書をご一読願いたい。
チャウ・シンチーの映画がブームになる中、本家の武侠小説もぜひ手にとって欲しい今日この頃。
ストップしてしまった文庫化も復活を期待してやまない。
侠客行〈1〉野良犬
侠客行〈1〉野良犬
徳間書店
price : ¥560
release : Now On Sale

金庸入門に最適

金庸に興味はあるが、どれから読んでいいか判らない、という人に薦める。
主人公は天才にして天然。
(コミックスで言えば、のだめが近いかな)
ところが、出会う奴らが、最悪中の最悪。
小説だろうが、コミックだろうが、ほかに例え様もねえよ。
本当にメチャクチャな奴らなんだから。
けど、そこが面白い。キャラはね。ストーリーはイマイチかも。
シェイクスピア全集 (6) 十二夜
シェイクスピア全集 (6) 十二夜
筑摩書房
price : ¥735
release : Now On Sale

踊るシェークスピア

松岡和子さん翻訳で送るシェークスピア・シリーズの第5巻。松岡訳は従来のものに比べるとテンポが早く、軽快。訳注を参照しつつじっくりと内容を読み解いてゆく、という学術的シェークスピアというよりは、なによりもまず「読んで面白い!」翻訳です。松岡さんのそんな翻訳スタイルがもっとも威力を発揮するのは、この『十二夜』のような作品ではないでしょうか。たわいもないおとぎ話なのだけれど、なにか心に残る、そんなシェークスピアの「喜劇」の世界。『ハムレット』や『リア』といった重い作品だけがシェークスピアではないのです。ぜひあなたの本棚に!
ホビットの冒険〈下〉
ホビットの冒険〈下〉
岩波書店
price : ¥714
release : Now On Sale

下巻のおもしろさ

旅の目的はスマウグから宝を奪い返すことですが、実はそのスマウグが死んでからの話の展開こそがおもしろかったのです。宝をめぐっていがみ合う人々、それをビルボ・バギンズがどのように感じ、そしてどのような行動に出るのか。ファンタジー世界の中に隠されたリアルな人間観をお楽しみください。
海からの贈りもの
海からの贈りもの
立風書房
price : ¥1,470
release : Now On Sale

人生が変わった本

「涵養」

本書にはこの言葉を贈りたいです。精神面での豊かさとはどういうことなのか、
考え・育てるきっかけを与えてくれました。

−しかしわたしは何よりもまず、わたし自身とひとつでありたい−
−私たちは結局、みな孤独である。ひとりでいるということを、もう一度はじめから学びなおさなければならないー

新潮社からの文庫もありますが、
こちらの訳の方が女性らしさがうまく表れていてわたし好みです。

24―CTU機密解除記録 トロイの木馬 (下)
24―CTU機密解除記録 トロイの木馬 (下)
英知出版
price : ¥620
release : Now On Sale

モーパン嬢〈上〉
モーパン嬢〈上〉
岩波書店
price : ¥735
release : Now On Sale

ハツカネズミと人間
ハツカネズミと人間
新潮社
price : ¥340
release : Now On Sale

これが友情の究極の形か

 本書は、いつも頭が切れて友人の面倒を見ている小男ジョージと、頭は弱く愚直で不器用だが力持ちの大男レニーの話である。レニーは自分の気持ちに正直すぎるが故にしばしば問題行動を起こしてしまう。一見対称的な2人だが、ジョージにとってレニーはなくてはならない存在であり、逆もまた然りなのである。身体の小さなジョージはレニーの頭脳となり、大男のレニーはジョージの身体となって、2人はお互いの欠点を補う理想的な友情関係を築いている。
 私はこれほど印象的な物語を未だかつて読んだことがない。物語の終盤でジョージが下した決断が衝撃的だったからだ。ぜひ、多くの方に実際読んでいただきたいのであえて本書の詳細までは述べないが読後は、なぜこうせざるを得なかったのかを考えることとなるはずだ。私は、読後に物語の最初に戻っていろいろ考えてみた。すると、ジョージがとった行動の根拠となる箇所を多々確認することができた。そこからは、ジョージは最後にこうなることをまるで予期していたかのように読み取ることができる。ジョージの頭に一貫してあるのはレニーへの友情である。やはり2人の友情関係は本物だった。
 本書は理想的な友情関係を考える上でバイブルとなり得る一冊である。そして、本書を本当の友人と呼べる人にも薦めてみてはいかかだろう。深い感銘を与えるはずである。

ドラゴン・スレイヤー・アカデミー2〈2〉かえってきたゆうれい
ドラゴン・スレイヤー・アカデミー2〈2〉かえってきたゆうれい
岩崎書店
price : ¥840
release : Now On Sale

ミステリ百科事典 文春文庫
ミステリ百科事典 文春文庫
文藝春秋
price : ¥1,350
release : Now On Sale

ネタバレ満載。でもヤな気がしないのは、著者の「ミステリへの愛」を感じるから

それぞれのアイテムごとに、「こんなトリックのミステリがありますぜい」「こんな仕掛けのミステリがありますねい」と紹介、陳列したミステリ博物館(美術館でもあるかも)的一冊。以前は社会思想社の現代教養文庫に収められていたとのこと(北村薫さんと宮部みゆきさんの「まえがき対談」によれば)。そんなこたぁちっとも知らなかった私ですが、拾い読みすればするほど読んでみたいミステリ作品がわらわらと増えていきました。ネタバレだけは絶対ヤだ!という方にはおすすめできまっせん。でも、「へーっ、そんなトリックがあるんだ!」「ふーん、そんなミステリがあったんだね?」と、ネタバレに寛容なミステリ好き、それもかなりあれこれと読み込んでいるミステリファンの方にぜひ!とおすすめしたい一冊です。

主なアイテム(お題)を挙げておきましょう。「眼」「手」「血」「首」の人体篇、「猫」「犬」「虫」「花」の生物篇、「雪」「氷」「クリスマス」の風物篇、「電話」「時計」「人形」「蝋燭」「手紙」「郵便」「遺書」の事物篇、「宝石」「写真」「たばこ」「自動車」「飛行機」「海」「毒薬」「衣服」「ギャンブル」「レジャー」「野球」のミステリ・ジョッキー篇。ほかに、「吸血鬼」「河童」「天狗」「狐」などについて著者の薀蓄が披露される妖怪学入門のボーナス・トラック(?)付き。

この一冊をぱらぱらとめくっているだけで、それ読んでみたーい!なミステリがあれよあれよと増えて嬉しい悲鳴を上げております。
ファンタージエン 忘れられた夢の都
ファンタージエン 忘れられた夢の都
ソフトバンククリエイティブ
price : ¥1,890
release : Now On Sale

『はてしない物語』のその後

ファンタージエンで唯一「忘却」から守られる街「セペランサ」。父と母を忘却に奪われ、必死に都をめざす少年カユーンとその妹に、夢狩り人の魔の手が迫る…一方、都の長老の娘サラ―ニャの出生には秘密が…そして、復活した闇の女王サイーデの企みとは?

この本は、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』のその後の世界となります。人の子によって救われた後の世界は?バスチアンはどうなったの?というところが少しだけ明らかになりますが、読み終わった今、正直言って、えぇーここで終わりなのーという気分です。本の残りが少なくなるにつれ、その気持ちは段々と強くなっていったのですが、たしかに、この本の主人公カユーンと サラーニャの部分の話は終わるかもしれない。でも、ここでいっぱい出てくる謎はどこへ行くのー???と。たぶん、他の作家が書いてくれるのかもしれないけど....というわけで、欲求不満になりました。
LAコンフィデンシャル〈下〉
LAコンフィデンシャル〈下〉
文藝春秋
price : ¥600
release : Now On Sale

4615

映画「LAコンフィデンシャル」を見てこの暗黒のLA4部作を読もうと思ったのですが…。
とてもおもしろかったです。
というか映画を先に見てしまったのを少し後悔です…。

全部読み終わりましたがまたブラックダリアから読もうと思います。

エンディミオン〈上〉
エンディミオン〈上〉
早川書房
price : ¥924
release : Now On Sale

最高のSF、しかし凡庸すぎる続編

純粋なSFとしてみれば、実に優れた一冊。「肉体の復活を実装したカトリック教会による宇宙支配」から派生する非現実的だが地に足のついた数々の世界観、一方のアウスターによる樹木によるダイソン殻等、センス・オブ・ワンダーに溢れた作品である。

しかしこれを「ハイペリオン」の続編として捉えると、正直「売れたので続編を書いてみました」という状態でかなり萎える。なんせ全編を通じて、ハイペリオンで作り上げられた物語があっさりと否定されていくのだ。これは作者自身かなり弁解しているらしいが、本文以外で弁解されても面白みが取り戻せるわけではない。またストーリーテリングとしても「救世主の女の子と凡庸な青年の冒険譚」という単調な話で、巡礼達の様々な人生を絡み合わせて大河と成していく「ハイペリオン」とは比べ物にならないと思う。

SFとしてはお奨めできる。しかしハイペリオン読者に薦められるかと言われると、かなり困ってしまう作品だ。読む価値は確かにあるのだけど。

今昔物語(下)―マンガ日本の古典 (9) 中公文庫
今昔物語(下)―マンガ日本の古典 (9) 中公文庫
中央公論新社
price : ¥620
release : Now On Sale

水木先生も特別出演されています(単行本レビュー)

『今昔物語(下)』は「マンガ日本の古典」の第9巻として1996年に刊行されました。
12作品が収録されています。

上巻と同様、怪異譚、エロチシズム、スカトロジーなど、筆者の趣味が作品の選択に反映
されています。原典の初出順に話が並べられているわけではないので、本書から読んでも
さしつかえないと思います。「あとがき」がある分、こちらの方がかえってよいかもしれ
ません。「あとがき」では『今昔物語』を手がかりに、幸福について語っておられます。

原典は12世紀に成立していますが、本書には平安期の闇といったものをいささかも感じ
させません。たとえば諸星大二郎さんが描くなら、正反対の作品集になったと思います。
やはり作家の個性が出るのだなあ、と本書を読んで感じました。なにせ一番恐いのはタイ
トルページの絵ですので。むしろ明るさが全編にただよう作品集です。

「生霊」という作品では例外的に、先生ご自身が冒頭に出演され、案内役をつとめられて
います。このように水木色をもっと出せば、作品としての評価も上がったのではないで
しょうか。

内容的にあっさりしているので星3つとも思いましたが、いつものごとく風景が過剰なま
でに緻密に描かれていますし(この画風になじんでしまうと、他の作家の作品がまっ白に
映ってしまいます)、人物の輪郭を肉太で描く、昨今の力強いタッチを堪能できますの
で、星4つとしました。

なお単行本には「マンガ日本の古典」の刊行を告知するしおりがついており、そこには水
彩画で描かれた先生の自画像がちいさく印刷されています。

「ねずみ大夫」
「安倍晴明」
「稲荷詣で」
「幻術」
「妻への土産物」
「水の精」
「墓穴」
「引出物」
「外術使い」
「寸白男」
「生霊」
「蛇淫」
「あとがき」

危険な駆け引き
危険な駆け引き
ハーレクイン
price : ¥760
release : Now On Sale

完結編にふさわしいまとまりのよい作品

マッケンジーシリーズの最後を締めくくるのにふさわしい
ハラハラドキドキ&胸が熱くなる1冊です。

ストリートキッズとして過酷な少年時代を過ごしていたチャンスを
養子としてひきとり教育と父母の大きく懐の深い愛情で
「人間」という形を与えたのがウルフとメアリーとすれば、
彼に「心から人を愛する喜び」という「心」を与えたのがサニーではないでしょうか?

チャンス同様に家族の愛情に縁薄いサニーですが逆境にまけることなく
芯が強くしっかりとして愛する者のためには自分の命をもかえりみない一途な姿。
・・・いじらしいです。そして彼女はユーモアのセンス抜群なのです。

マッケンジーの男達ってあまり冗談が通じなさそうなタイプが多いのですが
チャンスは別!(ウルフと「石の都に眠れ」のベン・ルイスを足して2で割ったキャラ)
二人の丁々発止なやりとりに時々ニヤリとしながらよみました。

そしてラストのウルフとチャンスの会話、胸が熱くなって(泣)
ウルフの男としての器の大きさに感動です。

マッケンジーシリーズはウルフに始まりウルフに終わる、ということでしょうか?



ラヴクラフト全集〈6〉
ラヴクラフト全集〈6〉
東京創元社
price : ¥672
release : Now On Sale

クトゥルフ神話の夢の世界を旅する冒険

ラヴクラフト全第6巻には,1〜5巻とは少々趣の異なる物語が収録されています。1〜5巻の話は,現実の世界で起こる恐怖がメインテーマでしたが,6巻で語られる話は,人間が眠っているときにだけ訪れることのできる夢の世界,<ドリームランド>での冒険が中心となります。夢と言っても,そこはさすがラヴクラフト,彼独自のアイデアがここにも広がって,普通の人が想像する夢の世界とはちょっと趣の違う,えもいわれぬ不思議な世界観を形成しています。<ドリームランド>の物語はいわゆるホラーではありませんが,ラヴクラフト世界を語る上で重要な部分ですので,ファンなら必読です。
ボーン・コレクター〈上〉
ボーン・コレクター〈上〉
文藝春秋
price : ¥700
release : Now On Sale

読者を圧倒する、ノンストップ・ジェットコースター・サスペンス

’99年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第1位、「このミステリーがすごい!」海外編第2位。

リンカーン・ライムを主人公にした、ジェフリー・ディーヴァーの看板シリーズの記念すべき第1作である。

ライムは、捜査中の事故で四肢麻痺の体となり、左手の薬指と両肩と頭だけしか動かすことができない。
彼は行動派の女性巡査アメリア・サックスを目・耳・鼻・手足として、科学捜査の粋を集め、主役をもしのぐ印象的な犯罪者を相手に、つぎつぎと難事件に取り組む。

最初の強大な敵は、連続殺人鬼‘ボーン・コレクター’である。
数時間おきに新たな被害者を監禁する‘ボーン・コレクター’。
そして被害者の周囲に、次の犯行現場と時刻、殺害手口を示す手がかりを残しながら、次々と犯行を重ねていく。

ライムは、得意の科学捜査と、研ぎ澄まされた洞察力で‘ボーン・コレクター’のメッセージを分析・解読し、殺される前に次の犯行現場を特定し、被害者を救い出さなければならない。
次から次に、何度も迫り来るタイムリミットを前にした ‘ボーン・コレクター’ と ライムとの知恵比べ。
そして‘ボーン・コレクター’の脅威はアメリアとライムにも及ぶ。

さらにライムは、犯行の度に残された証拠から、‘ボーン・コレクター’をプロファイリングしてゆく。
本文中に挿入された「表」に項目が書き加えられてゆくにしたがって、次第に浮かび上がってくるいびつな犯人像、その過程の緊迫感も本書の読みどころである。

ジェットコースターのようなスピード感あふれるサスペンスの連続と、うねりのあるストーリー展開、そして知的好奇心をくすぐる詳細な鑑識・科学捜査のまえに、読者はただただ圧倒される。

ミステリを書く!
ミステリを書く!
小学館
price : ¥690
release : Now On Sale

珠玉のインタビュー集

現代ミステリの最前線で活躍する作家達へのインタビュー集。各作家がどのような経緯を辿ってミステリ作家になったのか、がよくわかる良質のインタビュー集です。ミステリを書く気のない人でも充分楽しめます。
百頭女
百頭女
河出書房新社
price : ¥1,008
release : Now On Sale

西欧人のデジャ・ヴュを、密かに覗き見する悦楽。


 “シュール”とは何か。そんなことはどうでもいい。ただ純粋に、一冊の美意識の塊に触れることが、いかに贅沢で、いかに生々しいものかを思い知らされれば十分である。
 ストーリーなき私小説であり、赤裸々な謎かけであり、高尚な大衆紙であり、詩のついた絵本である『百頭女』には、西欧人なら誰もが、どこかで、何かの形で見たことがあるであろうデジャ・ヴュ(残念なことに、日本人では、この本の面白さは半分しか理解できないかもしれない)を経験することになる。既視であり、未知。この不可思議。それこそがコラージュなる手法で読み手を幻惑し、哄笑するエルンストの錬金術にほかならない。
 谷崎潤一郎『人魚の嘆き・魔術師』(棟方志功、挿画)しかり、ウィリアム・ブレイク詩集しかり、オスカー・ワイルド『サロメ』(オーブリー・ビアズリー、挿画)しかり、ダンテ『神曲』しかり。この手の、“絵も文ほどにものを言う本”は、文庫になるとその魅力が矮小化されてしまって、艶っぽい印象が削がれてしまう。ところが、エルンストの『百頭女』は、むしろ文庫化されたことで、かえって倒錯的で猥褻な雰囲気が増幅され、あたかも人間喜劇的日常(無論、エルンストであるからには、非日常的で不条理な日常であるが)を密かに覗き見しているような、犯意と欲望ある淫らな愉しみを味わっている自分を発見するきっかけを与える。中世ドイツの版画技術の文化や親和性も垣間見えてしまうのも皮肉なことだが(無論、そのシニシズムこそがエルンストの狙いではあるのだが)。
 巻末に、澁澤龍彦や赤瀬川現平らによる寄せ書きが収録されているのもまた素晴らしい。
ウエディングプランナーは眠れない
ウエディングプランナーは眠れない
ランダムハウス講談社
price : ¥798
release : Now On Sale

明るく楽しいシリーズの1作目

まず、会話やシチュエーションが楽しい。ドラマにたとえれば、『アリー・マイラブ』のような雰囲気に若さと上品さを加えた感じかな。舞台がワシントンDCなので、アメリカの政治の首都の風景も、感じることができる。ただし複雑な人間関係や込み入ったトリックを期待したい人には向いていないよ。私はDCに感光で3日間しかいなかったけど、何度も歩いた通りの名前や建物外観や町並みなどが浮かんできた。続編も読みたいね。
獣たちの庭園
獣たちの庭園
文藝春秋
price : ¥950
release : Now On Sale

ペルリンでの濃密な四日間

 後半のどんでん返しから、加速した。めくるページが。はじめ事態が
よく飲み込めなかった。何度かページ戻る。合点がいくと加速した。
エンストにいらついたドライバーの様に。めくりまくった。ヒットマン
である主人公の結末が、気になって仕方がない。なんとか生き延びて
欲しいと。いつの間にか感情移入してた。
 殺し屋といえば、氷の様に冷酷で石の様に堅いイメージだが。決して
それだけじゃない。この主人公にも冷たさを感じる「体温」があるんだ。
読者にそう思わせる、人物描写が丹念だ。
 ペルリンでの濃密な四日間。わけあり侵入者と、それを嗅ぎ付ける
刑事との追跡劇。独裁者と、とりまき側近たちの権力争い。極秘進行中
の軍事プロジェクト。動乱期を必死に生きる人々の家族風景や、それぞれ
のロマンス。複数の視点が、色鮮やかにつむぎ出している。長いが決して
読み辛くなかった。
日本文学史序説〈下〉
日本文学史序説〈下〉
筑摩書房
price : ¥1,470
release : Now On Sale

これが文学史の集大成!

驚くべき著者の知識と文学への深い洞察とが、文学だけでなく日本人の持つ文化背景や国民性をも浮き出している。これを読んで、今まで名前しか知らなかった作家に興味を持ったり、もしくは知らない文学との新たな出会いもあるだろう。学校では扱わない思想家などもここでは丁寧に表記されている。文章が少しかたいのが難点であるが、読みごたえは充分。本好きにはたまらない作品であると思う。
オフィシャル・ブックTHEゴルゴ学
オフィシャル・ブックTHEゴルゴ学
小学館
price : ¥1,890
release : Now On Sale

【商品詳細】

さいとうたかをの長期連載シリーズ「ゴルゴ13」について、ビッグコミック編集部がさまざまな角度からの資料を集めた、完全データベースともいうべきオフィシャルブックが本書だ。 「作品中の全狙撃数は2557発」、「ゴルゴの狙撃失敗確率は0.27%」といった緻密なデータを調べあげ、そのひとつひとつについて解説を加えるという作業の徹底ぶりには圧倒される。また、著者であるさいとうたかをへのロングインタビューや、ゴルゴ関連グッズの紹介など、オフィシャルブックならではの内容も満載で、中身が濃い1冊だ。 巻末には全463話分の標的や報酬、作品の見どころをまとめたパーフェクトリストを掲載しており、全巻をすでに読み通したゴルゴファンにはもちろん、まだ『ゴルゴ13』を読んだことのない人にとってもゴルゴの世界が十分に伝わる構成になっている。 『ゴルゴ13』のストーリーはもちろんフィクションだが、世界各国の歴史、経済、地理、政治といったさまざまな国際問題を下地に構成されており、作品自体をひとつの優れた「教科書」として読むこともできる。その膨大な知識や情報を、テーマ別にわかりやすくまとめた本書は、まさにファン待望のオフィシャルガイドブックといえるだろう。(清水 晶)

世界の裏舞台・・・いつもそこにはゴルゴ。

ストーリー自体は本当に荒唐無稽なのに圧倒的な存在感で彼は迫ってくる。
その男、すなわちゴルゴ13に関するオフィシャル・ブックがコレだ。
天才的なスナイパー、ゴルゴ13を知るには又とない本だろうな。
LAコンフィデンシャル〈上〉
LAコンフィデンシャル〈上〉
文藝春秋
price : ¥600
release : Now On Sale

LAの警察

暗黒のLA四部作、その三。

JGバラードの『コカイン・ナイト』にはこういう一節があった。

<「リアルなビジネスというと?」
「金、セックス、ドラッグ。今の世界で、ほかにいったい何がある? エストレージャ・デ・マル以外の場所では、芸術などに関心を持っているものは一人としていやしない。唯一の請っている本物の思想家は警察だけだ」>

LAコンフィデンシャルに描かれるLAもまさにこんな感じで、ここには、芸術家(映画関係者)とリアル・ビジネスマン(娼婦、ギャング、麻薬のディーラーとかだけど)、そして警官しか登場しない。

金とドラッグとセックス(これに音楽と酒という溶媒を加えるともっとすごい)っていうものの誘惑はとても強くて、LAのような街ではだいたいの人がこれの虜になってぼんやりとした毎日を送る。無思想。東京も似たようなものだが。そして、唯一、警官だけが思想を持っているのかもしれない。これを読むとそんな気もするし、エルロイが、作品の中では汚職警官とかをたくさん登場させながらもLAPDを尊敬してやまないというのにも、そんな理由があるのかもしれない。

映画を見てもすごい映画だと思ったが(原作者エルロイも映画を見てたまげたらしい)、小説も輪をかけてすごいできばえだと思う。『ビッグ・ノーウェア』もそうだったが、またもや最終シーンがとても印象に残る。
ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る
ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る
バジリコ
price : ¥1,575
release : Now On Sale

より個人的な物語

1巻に比べると、マルジ個人としての思いや悩みにフォーカスされているのがこの2巻。
彼女の異国(オーストリア)での生活と、西欧的価値観を持ったまま祖国イランで過ごす生活での葛藤が描かれる。

十分に面白いのだが、彼女はやはり「上流階級の人」である。
イラン庶民との乖離は非常に大きいものに感じられるし、イマイチ共感できにくい箇所が多いのも事実。

ただ、イランで女性がどのように体制に歯向かいながら生きているのか、というリアルな状況が垣間見られたのは興味深かった。

どうしても第1巻と比べてしまうから星4つで。
単独で見れば、十分5つ星の内容。
タラ・ダンカン〈3〉魔法の王杖〈上〉
タラ・ダンカン〈3〉魔法の王杖〈上〉
メディアファクトリー
price : ¥1,470
release : Now On Sale

今回もすげーよ!

村田さんのタラとモワノーの表紙イラストは凶悪にカワイくて最高!村田さんのファンはそれだけで買い!(笑)‥内容のほうはネタバレになるので多くは語りませんが、手短に言うと‥今回もすげーハード!タラちゃんには(なんか変だな、この呼び方‥笑)メゲずに仲間達と頑張って欲しい!…私からは以上!‥(笑) 下巻もヨロシク!
パラダイスを君に〈上〉
パラダイスを君に〈上〉
ソニーマガジンズ
price : ¥924
release : Now On Sale

ヒーローのセリフにとろけそう

上下巻合わせて1000ページを超える長編ですが、次々とヒーローとヒロインに振りかかる事件のせいで飽きることがなかったです。なにしろ誤解に次ぐ誤解の連続でやっと落ち着いたと思ったのもつかの間、もうそのときには次の事件の影が忍び寄っているのですから!その事件のジャンルもまた、ロマンス関係は言うに及ばず、経営戦略から法律関係まで幅広く、いろんなタイプの小説を読んでいる気分にさせてくれます。
しかし何より私がグッときたのは、ヒーローのヒロインに向けるセリフです!たくさんあるのですが中でも好きなのは
「キスを返してくれたら六百万にしてもいい。今夜一緒に寝てくれたら世界を丸ごとあげる。でも僕のところに引っ越してくれたら、それよりもっといいものをあげよう。」
こんなセリフ一度は言われてみたい!と柄にもなく思ってしまいました(笑)。波乱ばかりのストーリだけど、読んでいると幸せな気分に浸れる作品です。
神〓剣侠〈1〉忘れがたみ
神〓剣侠〈1〉忘れがたみ
徳間書店
price : ¥840
release : Now On Sale

読んで損なし!


主人公とヒロインのキャラに非常に魅力がある。

金庸作品で読んだのは文庫化されたものだけだけど、今までの主人公は真面目でカタブツだったり純朴だったり、
わりと正統派な主人公で個人的にはあまり面白みがなかった(金蛇郎君などアクの強いのが大好きなので)。

でも本作の主人公・楊過は売国奴の子として生まれ、自分を見下し認めない世間の人々や武林の掟や制度に根深い恨みを抱き、
反骨し、傷つくのも厭わず昂然と牙を剥き、自分の意思を貫く。頭もいい。非常にエネルギッシュなヤツだ。

ヒロイン・小龍女も幼少から一歩も墓から出ることなく育ち、ある理由で感情を表すこともできないため、
徹底して冷徹で浮世離れした、これまた他人の目や世間の常識などどこ吹く風で自分の意を貫く美女だ。しかも絶技を使う。

そんなふたりが出会い、武林中を敵に回して愛し合うようになるのだ。そりゃワクワクする。精神的に成長していくふたりも見所だ。

脇のキャラもいつもどおり魅力的。小龍女の師姉である、世の男全てを憎み、圧倒的に強くワガママな「赤錬仙子」李莫愁がイイ。
前作の東邪・西毒などもイイ感じで出てくる。

女の子はやたら恥ずかしがり屋だけど、それはまあいつものことなので。
あと今回は邦訳が良く、子供向けのような噛み砕きすぎた文章ではないのもかなり高評価。

とにかく読んで損はない!
灯台へ
灯台へ
岩波書店
price : ¥903
release : Now On Sale

突然の崩壊と緩やかな再生

 すばらしい構図、質感の名画である。

 第一部は、今日なら絶滅危惧種に指定されるべき「自己犠牲」と「与え続け」る人=ラムジー夫人が、それぞれ滑稽なほど癖の強い大家族と客人たちを、ひとつの共同体にまとめ上げる様が、拡大鏡を覗くように描かれる。第二部では、第一部ののどかな一日とは対照的に、10年の歳月が荒々しく矢のように過ぎ、第三部では、10年前、即ち、第一部で描かれた一日の翌日に計画されていた灯台行きの遠足が決行される。その様子を亡き夫人に代わって、こちらも10年越しの絵の完成を期す客人リリーが見ている。
 
 著者は、8人の子の母で良き妻でもある夫人を意識的に評価し、同時に、結婚を選ばず、初志を貫くリリーを肯定する。その他の登場人物もかなり個性的なのに、不思議な程身近な人に似て見える。”実験的”とされつつも、するりと小説世界に入り込める所以だろう。大河に押し流される感覚ではなく、雪解け水の小川を裸足で渡る感覚の小説である。

 この多分に女性的な空間を男性が翻訳することに、大きな関心を持って読んだ。御輿訳の登場人物は現代的で庶民的である。また、同氏訳は骨太で、複雑かつあいまいな感情を、平明で具体的な言葉にすることに長けている。一方、ラムジー(ラムゼイ)夫人の魅力とジェイムズやリリーの感受性の強さが際立ち、所謂”意識の流れ”にかかわる文章のリズム感に秀でるのは、先行の伊吹訳だろう。両訳読み比べてみることをおすすめしたい。

大草原の小さな家 ― インガルス一家の物語(2)
大草原の小さな家 ― インガルス一家の物語(2)
福音館書店
price : ¥788
release : Now On Sale

【商品詳細】

ローラ・インガルスという名の女の子… …それは「リトル・ハウス」シリーズの著者、ローラ・インガルス・ワイルダーのこと。インガルス一家は、小さな丸太の家を売り払い、インディアンの住む西部へ向けて旅に出ることになりました。一家はウィスコンシン州からカンザス州へ入り、ついにパパは、カンザス州の大草原に小さな家を建てます。農場での生活は苦しく、危険な目にあうこともしばしば。でもローラとその家族はいっしょうけんめい働き、大草原での新たな生活を夢見て楽しく過ごします。 幌馬車で西部をめざしてきたローラ一家ですが、そこがインディアン居留区だとわかり、再び移動しなければならなくなりました。 1940〜1954 ノータブル・チュルドレンズ・ブックス(ALA) 1976 ホーン・ブック・チュルドレンズ・クラシックス

開拓者としての生活

大きな森の小さな家は楽しくハッピーな作品だったが、大草原の小さな家では開拓者の苦労が綴られている。
特に、ミシシッピを渡る場面には、はらはらした。

勤勉で感心な家族だが、インディアンに対して差別心があり、それを差別と思っていないところに、日本人の読者としては宗教性の違いを感じる。
トットちゃんとトットちゃんたち
トットちゃんとトットちゃんたち
講談社
price : ¥756
release : Now On Sale

切ないけどこれが現実なんですね

戦争は悲惨なものだ 漠然とそう思っていたけど
ここまでとは・・・この本を読んで思い知らされました。
自分は無知だったな、 知らないって恥ずかしいことだなと
思いました。
世界のあちこちで、子供たちが苦しんでいる。
地雷や爆弾も 子供たちをねらって
かわいいぬいぐるみや おもちゃの形をしたものが
あると 知ったとき、なんて 卑劣なんだろう
と、憤りました。

世界の現実を知るために
是非、子供たちに読んでほしいと思いました。


バーティミアス 3 プトレマイオスの門
バーティミアス 3 プトレマイオスの門
理論社
price : ¥1,995
release : Now On Sale

いやーーー最高!!v( ̄ー ̄)v

こんな小説読んだ事ないってぐらいo(*▼▼*)o ワクワク・・ハラハラ…o(;-_-;)oドキドキ♪もん!!
やっぱ悪魔バーティミアスと少年の上下関係すげぇ?おもろい!!読むのなら1巻からお勧め[岩蔭|]^⌒)bうふっ。だってぇ?少年の初恋も、ほろ苦く書かれていておもろいよ^^。
これは絶対にゲットすべきじゃ!
神々の軍隊―三島由紀夫、あるいは国際金融資本の闇
神々の軍隊―三島由紀夫、あるいは国際金融資本の闇
三五館
price : ¥2,100
release : Now On Sale

日本人のDNAを揺さぶる名著

陣風連の乱、2・26事件、大本教・出口ナヲ、三島由紀夫決起事件、これらをつなぐ1本の縦糸すなわち西欧合理主義に対しての民俗的純潔と言おうか、天皇を神とする民族固有の神話の存在を見事に描き出し、その破壊を精緻に書いている。朝鮮や満州で日本人が威張り、土地の人間が虐げられ、国内では貧しい農民が娘を売らねば生活できない窮状がある。天皇親政を夢見て決起したものの、天皇の怒りを買い誅殺されてしまう。天皇は神ではない。少なくとも彼らが期待する神ではない。民族固有の神話を思い出す日がくるのか。
日本人であることとは?日本を守るということとは?と自問せずにはいられない。
国際金融資本のたくらみを人類皆が知る日がくるのだろうか。まず日本から変わっていかねばばならない。

近い将来、この本は覚醒した日本人のバイブルとなるだろう。
「ゲド戦記」の世界
「ゲド戦記」の世界
岩波書店
price : ¥504
release : Now On Sale

ゲド戦記の読み方

この冊子は翻訳者清水真砂子さんが翻訳を通して、ル・グインの世界に付き合いながらかつ、ゲドに登場した人々に付き合いながらどう『ゲド戦記』のシリーズを読み解き、感じてきたかの道程の記録でもある。『ゲド戦記』解読本とか、ル・グインのフェミニズムの遍歴をそのまま解読したものではない。フェミニズム論としてこの作品をくくることへの危うさを彼女は感じているわけで、アースシーに生きる人たちの男や女、生と死、力と非力のなかで、その諸相を描きつつ、テナーのたどり着く地点の日常性の豊かさにゲドたちが生を見、テハヌがそれを受け継ぐことに光を当てていると思う。
標的(ターゲット)は11人―モサド暗殺チームの記録
標的(ターゲット)は11人―モサド暗殺チームの記録
新潮社
price : ¥740
release : Now On Sale

「人生は小説より奇なり」

「人生は小説より奇なり」という言葉がありますが、この本はまさにそんな感じがします。
この本の原題は「VENGEANCE」(復讐)で、ミュンヘン・オリンピックにおけるイスラエル選手・役員虐殺事件に対する報復の暗殺チームを、イスラエルがヨーロッパに派遣する話です。従って、実際の話で、そのチームを指揮した人の話を纏めたものです。
ところが、これを読んでみると、下手なスパイ小説なんかよりもうんと面白くて、一気に読んでしまいました。
映画の「ミュンヘン」もなかなか良かったのですが、こちらは又違った意味で面白いと思います。
星の王子さま
星の王子さま
集英社
price : ¥400
release : Now On Sale

まあ、こんなものか

 池澤夏樹翻訳、に惹かれて数十年ぶりに手にした『星の王子さま』だが、まあこんなものかというところ。
 最初に登場する、象を飲みこんだ大蛇(ボア)の絵でまずひっかかった。私たちは先行知識があるからこれがボアの絵だとわかるが、そういう予備知識がなかったら「なんだ帽子か」と思うのが普通でしょう。それは大人であるとか子供であるとかには無関係なはずである。サンテグジュペリ自身が言うように、単に絵が下手なだけ。キーワードと目される「肝心なことは目に見えない」というのも一面的すぎる。世の中には見に見える大事なこともたくさんある。
 要するに何を言いたいのかよくわからない本で、頻出する思わせぶりな描写と台詞は、それが逆に読者によってどうとでも受け取れるという魅力になっているのかもしれない。それと「星の王子さま」というネーミング、かわいらしいとはいえなくもない微妙な絵も人気の理由だろう。
蛇神の女王
蛇神の女王
早川書房
price : ¥987
release : Now On Sale

新たな仲間も加わってますます冴え渡る第二巻

 ベルガリアード物語の第二巻である本書では、新たな旅の仲間も加わって、ますますガリオン一行の旅は賑やかになっていく。
 単細胞だが人の良いレルドリン、騎士の雛形のようなマンドラレン、そして新版の表紙でその愛らしさを見せるセ・ネドラなど、魅力的なキャラクターが加わってそこかしこで記憶に残るエピソードを紡いでいく。
 一方で、ガリオンは謎めいた力を発揮し、その力に悩むことになる。こういった少年の苦悩や成長もきちんと書いてあるのが本書のもう一つの魅力であると思う。
 それにしても、エディングスの筆になるキャラクター達は、通りすがりの人物に至るまでユーモアたっぷりのエピソードと共に記憶に残るのが何とも言えず魅力的である。
 ドリュアドの森でのドリュアドとのやり取り、ニーサでの職業的暗殺者倫理など、ちょっとしたところまで印象に残るのは、流石の筆力と思わず溜息をついてしまう。
 そして、二巻最後の場面は、今後を予感させる大きな盛り上がりを見せている。
 キャラクター達のやり取り、主人公であるガリオンの成長、そしていよいよ大きく動き始めた物語と、どれをとっても見所満載で、一気に読んでしまって4月発売予定の第三巻が待ち遠しくなってしまう。
 紛れもなく本書は一級品の物語であり、ファンタジーであると思う。まだ読んだことのない人には、これからこの本が読める羨ましさと共に、是非読んで欲しいと声を大にして勧めたい。
いかしたバンドのいる街で
いかしたバンドのいる街で
文藝春秋
price : ¥620
release : Now On Sale

おくりものはナンニモナイ
おくりものはナンニモナイ
あすなろ書房
price : ¥1,260
release : Now On Sale

ちょっとしたプレゼントに最適の絵本

ナンニモナイをプレゼントするって、非常に英語的な発想だなと感じました。

「誰も知らない」を英語では「Nobody knows」と言うじゃないですか。
それに通じる発想です。

ある意味、「ナンニモナイ」は究極のプレゼントと言えるでしょう。

でも注意、送る相手を選ばないと誤解される恐れもありますからね。

一番いいのは、この本をプレゼントすることです。
チャングム〈3〉医女篇
チャングム〈3〉医女篇
早川書房
price : ¥630
release : Now On Sale

チャングムの生き様と自分の生き様を思わず比較し、焦燥感を覚えた。

 抽象的な表現ながら、1、2の内容は「劇的」。3の内容は「落ち着いた史書」。どれが一番面白いか?それは今の自分には1、2。結局今はドキドキしたい。しかも(勝手ながら)自分が関与しないところで。。。
 ところで真面目な感想を少し。改めて韓国の儒教国ぶりに感心させられる。年上の者を尊び、男を尊ぶ。年上だから、男だから、偉い。そういう世界。そこには今のような平等な世界はない。そんななかで、チャングムという女性が成り上がっていけたのは?
 圧倒的な実力と人格ではないか。それは今の世でも同じ。実力があっても人格が足らなくては小者が大物にはなれない。逆も当然。
 さらにこれに付け足すとすると、目的意識かな。実力も人格も十分でも、タイミングによってはこの人を排除する方向に作用することがある。しかしながら、この人に今の自分の向かう方向への強い目的意識があれば、そういうことに耐えて、かつやりぬき、よいタイミングに備えることができる。そう思う。
 今の自分は?全てが発展途上。特に目的意識。今の自分の生き方に対して、その向かう方向に目的意識を持たせることが全くできていない。そもそも自分の目標というのがさっぱり。。。何とかしないと。
 そう思う作品だった。
『スラムダンク』の秘密〈2〉
『スラムダンク』の秘密〈2〉
データハウス
price : ¥1,050
release : Now On Sale

文学理論
文学理論
岩波書店
price : ¥1,470
release : Now On Sale

ぜひ原著で!

 文学理論の入門書としてはイーグルトンの『文学とは何か』が有名ですが、構造主義・ポスト構造主義の説明がやや粗雑であり、さすがに古びてきている感が否めません。
 その点、カラーのこの本は、テーマ別に基本からアップ・トゥ・デイトな話題まで、簡にして要を得た説明がなされています。初学者なら、丁寧に読み進めていけば、目からうろこが何枚も落ちること請け合いです。ぼくはイーグルトンのものよりもこちらをお勧めします。
 ただ、原著と併せて読むのをお勧めします。下のレビュアーさんもご指摘なさっていますが、翻訳の方はあちこちに「誤訳」が見られ、かえってわかりにくいと思いました。翻訳に「誤訳」はつきものですが、例えば、原著では同格になっているものが並列で訳されていたりと、高校生レベルの間違いが散見されます。学生が訳したものをろくにチェックせずに出しちゃったんでしょうかね。原著は、入門書を書かせたらアメリカ批評会で右に出るものはいないカラーのこと、やさしい英語で書かれているので、大学生1,2年生レベルの英語力でも十分読みこなせると思いますよ。
ボーン・コレクター〈下〉
ボーン・コレクター〈下〉
文藝春秋
price : ¥700
release : Now On Sale

読者を圧倒する、ノンストップ・ジェットコースター・サスペンス

’99年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第1位、「このミステリーがすごい!」海外編第2位。

リンカーン・ライムを主人公にした、ジェフリー・ディーヴァーの看板シリーズの記念すべき第1作である。

ライムは、捜査中の事故で四肢麻痺の体となり、左手の薬指と両肩と頭だけしか動かすことができない。
彼は行動派の女性巡査アメリア・サックスを目・耳・鼻・手足として、科学捜査の粋を集め、主役をもしのぐ印象的な犯罪者を相手に、つぎつぎと難事件に取り組む。

最初の強大な敵は、連続殺人鬼‘ボーン・コレクター’である。
数時間おきに新たな被害者を監禁する‘ボーン・コレクター’。
そして被害者の周囲に、次の犯行現場と時刻、殺害手口を示す手がかりを残しながら、次々と犯行を重ねていく。

ライムは、得意の科学捜査と、研ぎ澄まされた洞察力で‘ボーン・コレクター’のメッセージを分析・解読し、殺される前に次の犯行現場を特定し、被害者を救い出さなければならない。
次から次に、何度も迫り来るタイムリミットを前にした ‘ボーン・コレクター’ と ライムとの知恵比べ。
そして‘ボーン・コレクター’の脅威はアメリアとライムにも及ぶ。

さらにライムは、犯行の度に残された証拠から、‘ボーン・コレクター’をプロファイリングしてゆく。
本文中に挿入された「表」に項目が書き加えられてゆくにしたがって、次第に浮かび上がってくるいびつな犯人像、その過程の緊迫感も本書の読みどころである。

ジェットコースターのようなスピード感あふれるサスペンスの連続と、うねりのあるストーリー展開、そして知的好奇心をくすぐる詳細な鑑識・科学捜査のまえに、読者はただただ圧倒される。

タラ・ダンカン〈3〉魔法の王杖〈下〉
タラ・ダンカン〈3〉魔法の王杖〈下〉
メディアファクトリー
price : ¥1,470
release : Now On Sale

ドキドキが止まらない!!

最高!!!受験勉強忘れて読みふけっちゃいました!
ロバンやカル、モワノー、ファブリス達なかまも頼りがいがある!!
タラとロバンの恋が叶うといいです!
次の巻まで1年もあると思うとじれったいです(>_<)
異形の道化師―マロリオン物語〈3〉
異形の道化師―マロリオン物語〈3〉
早川書房
price : ¥1,029
release : Now On Sale

卓越した群像劇の舞台はいよいよマロリーへ

 前巻の最後でマロリー軍の捕虜となったガリオン達はマロリー皇帝ザカーズの賓客として、東の大陸のマロリーに赴くことになる。そして、帝国の首都マル・ゼスを訪れることになるのだが、前巻のマーゴのようにこれまで”敵”として描かれてきたマロリーがこれまでとは異なった貌を見せ始めるのが興味深い。猫を愛するザカーズとサディの毒蛇ジスの交流を始めとして、ザカーズ皇帝その人も冷酷な復讐者、統治者以外の顔を見せ、それに対してサディ、シルク、リセルなどがそれぞれの持ち味を発揮する。脇を固めるマロリーの国務長官ブラドーなども味わいのあるキャラクターである。
 そして、本書のタイトルともなった異形の道化師の登場とヤーブレック、ヴェラとの再会や宮廷の陰謀劇を経て、マル・ゼスを後にしたガリオン達はいよいよザンドラマスを追ってかつてのトラクの家、アシャバを訪れる。そこでガリオン達を待っていたのは思いがけない展開だった。
 とにかく、群像劇として秀逸なこの作品は、道中で出会う脇役から事件からそれに対する一行の反応に至るまで興味深く、飽きさせない。前半は思いもよらない明るい色彩から後半はやや暗い色彩